数値流体力学研究者がAIエンジニアへ転身<p>異色のキャリアを歩むデータサイエンティストの探求心</p>

数値流体力学研究者がAIエンジニアへ転身

異色のキャリアを歩むデータサイエンティストの探求心

イントロダクション

現在、Vareal株式会社でデータサイエンティストとして活躍しており、そのキャリアにおいてはユニークな変遷を遂げてきました。大学院で数値流体力学を深く研究した後、飲食業、さらには海外でバリスタとして独自の道を切り開いてきました。一見すると異質なこれらの経験は、現在のデータサイエンティストという仕事にどのように結びついているのでしょうか。弊社代表の寺本が、インタビューを行い、これまでの歩みと、その根底にある知的好奇心に迫ります。

プログラミングとの出会い:学部時代の研究

Q:

大学時代について、時系列に沿ってお話を伺いたいと思います。学部時代、そして大学院では何を学ばれていたのでしょうか。

A:

学部からお話ししてもよろしいでしょうか?

Q:

もちろん、ぜひお願いします。大学からのお話は興味深いですね。

A:

大学では土木工学科に所属していました。研究室への配属の際、地盤の研究室に進んだのですが、そこで先生から数値計算によるアプローチを取り入れたいという話がありました。しかし、研究室にはそのノウハウがなく、たまたまコンクリート系の別の研究室にいた若い先生がその知識を持っているということで、共同で研究を進めることになったんです。私がその数値計算を担当することになり、そこから独学でプログラミングを始めたのがきっかけです。

Q:

それが数値計算力学のスタートだったのですね。ちなみに当時はどのようなプログラミング言語を使っていたのですか?

A:

メインはC言語でした。当時はまだFortranを使っている方もいたので、過去のコードを読む際にはFortranも使っていました。また、データが膨大に出てくるため、VBAを使って処理する必要もありました。

Q:

RやMATLABなどは全く使わなかったのですか?

A:

当時は全く使いませんでした。今思えば、それらを使えたらもっと効率が良かったかもしれません。ただ、私が初めてプログラミングに触れたのは大学4年の時で、しかも独学でした。地方大学だったこともあり、先輩から受け継がれる教材のようなものが一切なく、手探りで進めていくしかなかったんです。

Q:

すごいですね。まさにゼロから作り上げていったのですね。

A:

ゼロから自分で試行錯誤しながら研究を進めていました。

Q:

学部時代に、プログラミングを用いた数値計算に関する授業はなかったのですか?

A:

2年生の前期に一度だけ、今思えばそのような授業があったと思います。ただ、それがC言語だったかFortranだったか、定かではありません。大学院でティーチングアシスタントをした際に、「ああ、これが今やっていることに繋がっているのか」と気づいた程度でした。

Q:

私のイメージでは、土木分野は計算を多用するため、数値解析をかなり行うものだと思っていました。他の方々はどのように研究を進めているのでしょうか?

A:

構造力学のような分野では、既存のソフトウェアに自分で作成したモデルの形状を入力し、メッシュを切ってもらうことで解析が進められます。コンクリート系の研究室でも同様の手法が用いられています。しかし、私が所属していた研究室の先生は、世の中にまだ存在しない新しい手法を開発するというアプローチをされていたため、既存のソフトウェアに頼ることができず、自分でプログラミングを行う必要があったのです。

また、水理学の分野にもプログラミングに非常に強い先生が偶然いらっしゃり、その方も独自の手法を開発されていました。

Q:

素晴らしいですね。ちなみに、その数値計算結果の妥当性はどのように検証されていたのですか?

A:

一般的にベンチマーク問題というものが存在します。そのベンチマーク問題に対して計算を行い、既知の解と一致すれば、作成したコードは概ね正しいと判断できます。その後、実際の課題に近い境界条件が分かっている問題に対して計算を行い、パラメータの妥当性を確認します。そして、最終的に解きたい問題に対して、理論的な根拠に基づいてパラメータを設定し、解析を行うという流れが多かったです。

Q:

それが大学時代から大学院にかけての研究だったのですね。大まかな研究のフローとしては、まず研究テーマがあり、それに対して数値計算でアプローチする。最初に数理モデルを構築するというイメージですか?

A:

数式自体は既に存在している場合が多く、それをどのように適用するかが重要なアプローチとなります。また、解析手法にはそれぞれ一長一短があり、ある手法では解決できない問題もあります。その場合は、別の手法を検討することになりますが、解くべき方程式自体は、内部エネルギーの微分の式から導かれるものがほとんどです。それを様々なアプローチで解いていくのです。

Q:

地盤に関する具体的な計算としては、どのようなことをされていたのですか?

A:

一番最初に取り組んだのは、地盤の中を流れる浸透流の解析です。

Q:

浸透流というと、地盤の中に雨水などが染み込んでくる現象ですね。

A:

はい。特に沖縄特有の赤土を対象とした、沈砂池と呼ばれる施設があるのですが、そこから染み出てくる水の流れをシミュレーションしました。それによって、沈砂池の目詰まりの進行状況を把握し、オーバーフローの可能性などを予測できるのではないかと考えたのです。実験室レベルの基礎研究から、それを解析的に解けないかという試みでした。

Q:

浸透流の計算を通して、目詰まりのシミュレーションを試みたのですね。

A:

その通りです。浸透流を解析する既存のモデルに、目詰まりという要素を組み込むためのアプローチを検討しました。

Q:

それはご自身で仮説を立て、モデル化し、実際に数値計算を行ったということですね。

A:

そうですね。厳密には仮説というほど大げさなものではありませんでしたが。例えば、一定量の水が流れると、地盤の透水係数(水の通りやすさを示す指標)が低下するという仮説を立て、実験によってその関係性を明らかにしました。実験結果から得られた透水係数の低下を示すグラフと式を解析モデルに組み込み、地盤の各要素における水の流れを計算し、その流量に応じて要素ごとの透水係数を徐々に低下させることで、最終的に水が通らなくなる状態を再現できるのではないかと考えました。

Q:

それは有限要素法を用いて解析されたのですか?

A:

はい、そうです。ただし、地盤が破壊されないという大前提のもとでの解析です。

大学院での研究:数値計算力学の深化と挑戦

Q:

その研究生活はいかがでしたか?

A:

その研究成果は論文として発表することができました。大学4年生の時に、ある学会で発表し、論文も受理されました。一応、その研究はそこで完結しました。

Q:

それは博士課程の研究ですか?

A:

いいえ、学部4年生の時の研究です。

Q:

学部4年生で論文を発表されたのですね。素晴らしいです。修士課程ではどのような研究をされたのですか?

A:

修士課程では、有限要素法が要素分割に依存するため、破壊を伴う問題の解析が難しいという課題に取り組みました。破壊後の再メッシュ処理には膨大な計算コストがかかるため、より効率的な手法はないかと考えていたところ、点ベースの手法が世の中に存在することを知りました。しかし、それらは複雑なものが多かったため、最小値情報に基づいたよりシンプルな手法がないかを検討しました。当時、若い研究者がそのような手法を研究しており、その手法を基に、弾性力学の問題に適用できる新しい手法を開発しようと考えたのです。それが修士論文の研究テーマです。

全ての数式展開を行い、自分でコードを書いて解析を進めました。

Q:

その研究も論文として発表できたのですか?

A:

10年以上前の話なのですが、本当に多くの時間を費やして研究に取り組み、論文を提出しました。しかし、研究成果を論文として発表する過程で、学会から貴重なフィードバックをいただきました。そのフィードバックを基に改善を試みましたが、最終的には受理されず、別の方への手法共有を行い、それが別の学会で論文が受理される結果となりました。

Q:

それでは、修士論文は別のテーマで書かれたのですね?

A:

はい、そうです。修士論文では、岩盤中の粒状構造を模擬した解析手法を研究しました。具体的には、クラック(亀裂)の進展を解析できないかというテーマに取り組みました。クラックが発生すると、岩盤が連続体として扱えなくなるため、積分計算が困難になるなどの問題が生じます。そこで、先ほどお話しした点ベースの手法の考え方を応用し、点ベースで積分領域を再定義することで、クラックの進展を解析的に評価する手法を開発しました。この研究は比較的スムーズに進み、論文も受理されています。

Q:

以前の研究がベースにあったからこそ、スムーズに進んだのですね。

A:

はい、すぐにコードも作成でき、論文も比較的早くまとまりました。

Q:

修士課程を修了後、博士課程に進まれたのですね。

A:

博士課程では、地すべりのシミュレーションに取り組みました。岩盤の微細な亀裂から、大規模な変形、そして破壊に至る現象を解析的に解明しようというアプローチです。学部、修士課程で培ってきた連続体から破壊に至るまでの解析手法の知見を、地盤分野に応用する形で研究を進めました。具体的には、地すべりのような大規模な現象を対象としたシミュレーションに取り組みました。

Q:

地すべりに対するモデルというのは、先ほどお話に出た有限要素法の連続体の考え方をそのまま取り入れられたのですか?

A:

有限要素法は、要素を定義して解析を行うため、地すべりのような大変形を伴う現象を解析する際には、要素が大きく歪んでしまい、計算が不安定になるという課題があります。応力は力/面積で定義されますが、要素が潰れると面積がほぼゼロに近づき、応力が無限大に発散してしまうため、解析が困難になるのです。有限要素法は精度が高く、比較的シンプルな手法ですが、大変形問題には限界があると言えます。そこで、例えばある大学の研究室では、DDA(離散要素法)という手法を用いて落石の解析などが行われており、私も当初その手法に注目しました。しかし、自分でコードを組んでみたところ、パラメータ依存性が非常に高く、多くのパラメータを適切に設定する必要があることが分かりました。また、ブロックの接触判定や、転がり運動のシミュレーションにおいても、ブロックの形状や接触面積比によって結果が大きく変動するなど、柔軟性に欠ける点が見られました。細かい要素で解析を行うと、接触時の挙動が不自然になることもありました。そこで、次に個別要素法(DEM)と呼ばれる手法を試したところ、これは粒子同士の接触解析には非常に高い精度を発揮するのですが、粒子自体を剛体と仮定するため、破壊や変形を伴う現象の解析には適していませんでした。そこから、様々な手法を徹底的に検討しました。最終的に、マテリアルポイント法(MPM)と呼ばれる手法と、有限要素法を組み合わせたようなアプローチにたどり着きました。基本的な変形の表現には点を用いながらも、計算自体は有限要素法のような要素ベースで行うという手法です。

Q:

点、というと大きさを持たない概念ということですか?

A:

点には質量や体積といった物理量が割り当てられていますが、計算を行う際には、その点の情報を周囲の要素の節点に分配し、有限要素法と同様の離散化された方程式を解きます。

Q:

その時の物体の3次元的な形状は、どのように表現するのですか?

A:

まず、解析対象となる物体を3次元でモデル化します。そのモデルを代表する点の集合として表現します。

Q:

その点自体は大きさを持たないですよね。しかし、実際に計算する際には、例えば球状や直方体のような形状を仮定するのでしょうか?

A:

基本的には球状の形状を仮定します。2次元の場合は円盤状ですね。おっしゃる通り、点のサイズを小さくすればより詳細な表現が可能になりますが、必要な点の数が膨大になります。逆に、点のサイズを大きくすれば計算コストは抑えられますが、精度が低下する可能性があります。マテリアルポイント法の特徴としては、大変形や破壊といった現象を比較的安定してシミュレーションできる点が挙げられます。計算をしていない時は物体が静止しており、計算を開始すると滑りや崩壊といった現象を再現できるのです。そのような手法は当時あまり存在しなかったため、この手法に着目しました。そして、その高精度化手法を提案したり、当時世の中にあまり存在しなかった3次元ブロックモデルの作成手法を開発したりしました。

Q:

そのブロックというのは、直方体のようなイメージですか?

A:

山を模したモデルです。当時は、地盤・岩盤分野において、山のような複雑な形状を3次元のブロック集合体としてモデル化するというアプローチは、まだ一般的ではなかったと思います。もしかしたら研究例はあったのかもしれませんが、多くの研究者がその段階で困難に直面していたため、そこまで深く研究している人はいなかったのではないでしょうか。

そのようなモデルが作成できたとして、それをどう活用するかという議論も当時はあまりなかったと思います。そこで、山を模擬したような、多面体で構成されたブロックの集合体で山を表現するという試みを行いました。そのモデルを中国の研究室に提供し、解析を依頼したのですが、残念ながら結果は返ってきませんでした。そのような経験も踏まえつつ、その研究成果も論文に含めました。

Q:

少し質問させてください。先ほどお話に出た個別要素法(DEM)は、パチンコ玉のような粒子の集まりをイメージしましたが、マテリアルポイント法とは何が違うのでしょうか?

A:

個別要素法では、粒子と粒子の接触をフックの法則のようなバネモデルで表現し、常に接触判定を行いながら運動方程式を解きます。一方、マテリアルポイント法では、物体を代表する点に質量や応力などの物理量を保持させ、その点の周囲の空間を要素分割します。

Q:

均一に分割するのですか?

A:

場所によって分割の仕方は異なります。例えば、四角形要素の中央付近にある点の影響は大きく、端に近い点の影響は小さくなるように、重み付けを行います。その重み付けに基づいて、点の持つ物理量を要素の節点に分配します。

Q:

節点、というと球体ではないのですね?

A:

点に物理量を集約させるのですが、運動方程式を解くのは要素の節点です。

Q:

そういうことなのですね。それでは、節点で様々な方向からの力を計算するということですか?例えば、反力のようなものも。

A:

解くのは運動方程式のみです。点を要素の節点に割り振った後、その節点に対して運動方程式を解きます。要素で解くという考え方は、有限要素法と同じです。

Q:

四角形の要素があったとして、最初は真ん中に点情報があるのですね。その点が、隣接する要素のそれぞれの節点に情報を伝達し、端の節点にかかる力を合成して計算するというイメージですか?

A:

それほど複雑ではありません。まず、解析領域全体をあらかじめ要素分割しておきます。そして、各要素の中にマテリアルポイントがどこに位置するかを把握しておけば、そのポイントの持つ物理量を周囲の要素の節点に分配します。これにより、各節点には周囲のポイントからの情報が集約され、最終的には領域全体が大きな四角形などの要素で区切られた状態となり、有限要素法と同様に連立一次方程式を立てて解きます。その結果得られた要素の応力などを、今度はマテリアルポイントに戻します。速度が分かれば、それに微小時間(Δt)を掛けることで、ポイントの移動量を計算できます。移動したポイントの情報を再び周囲の要素の節点に分配し、連立一次方程式を解くというプロセスを繰り返します。

このように、接触点などを陽に定義する必要がないため、個別要素法のように接触モデルのパラメータ設定に悩むことがありません。また、基本的に有限要素法に基づいているため、物体が分離・飛散するような現象も比較的安定して解析できます。ただし、ポイントから節点へ、そして節点からポイントへと情報をやり取りする計算コストは非常に高くなりますが、比較的安定した解析手法と言えます。

Q:

それでは、時間軸を微小なステップで区切り、各ステップごとに情報の分配と方程式の求解を繰り返すのですね。

A:

計算というよりは、情報の受け渡しと方程式の求解を交互に行うイメージです。要素は単に空間を離散化するためのもので、ポイントが移動すること自体は要素の変形とは異なります。この手法を用いることで、現実の地すべり現象を比較的精度良く再現できることが分かりました。実際に沖縄県で発生した地すべりにこの手法を適用したところ、良い結果が得られました。

Q:

すごいですね。

A:

そうですね。ただし、その解析は2次元で行ったもので、その手法自体にもまだ課題がありました。そこで、より高精度な解析を実現するために、以前お話した最小二乗法をベースとした高精度化手法を提案しました。既存のマテリアルポイント法の基本的な枠組みはそのままに、最小二乗法の考え方を導入することで、より精度の高いシミュレーションが可能になるのではないかと考え、そのアイデアを論文として発表しました。

研究者から異分野へ:新たな道への探求

Q:

それで博士号を取得されたのですね。その後はどのような道を歩まれたのですか?

A:

その後は、飲食業に携わりました。

Q:

なぜ、研究から全く異なる分野へ転身されたのですか?研究は十分にやり尽くしたということでしょうか?

A:

いえ、研究活動を通じて、アカデミアにおける多様な意見や文化に触れることができました。様々な研究グループが存在し、それぞれに独自の視点やアプローチがあることを学びました。研究成果の評価基準も多岐にわたるため、研究者としてのキャリアを考える上で、多様な選択肢があることを認識しました。しかし、博士課程の1年目か2年目の頃から、そこががずっと心の中に引っかかっていて、「このままで良いのだろうか」「この道を進んで、そのようなことにいちいち気を遣いながら研究を続けるのは、一体何のためなのだろうか」と考えるようになりました。それで、大学を休学してワーキングホリデーに行ったのです。

Q:

研究自体は楽しかったですか?

A:

はい、研究自体はものすごく楽しかったです。

Q:

それでも、研究者として生きていくことは、少し合わないと感じたのですね?

A:

そうですね。このまま研究者の道を進むことに、急に不安を感じるようになったという感じです。

Q:

途中でワーキングホリデーに行かれたのですね。

A:

はい。本来は博士課程に3年かかるところを2年で卒業する予定で全て終わらせた時に、「本当にこのまま研究者の道を進むのか?」と自問自答しました。卒業に必要な単位は既に取得していたので、1年ほど休学しようと考えました。誰も私のことを知らない、私も誰も知らない場所へ行ってみようと思い、当時オーストラリアのブリスベンという比較的マイナーな都市に行くことにしました。

Q:

そこでは何をされていたのですか?

A:

最初は、現地の工科大学のようなところに通っていたのですが、あまり面白くなかったので辞めました。その後は、飲食業で働きながら、1年間自問自答しながら生活していました。

Q:

それから日本に戻ってきて、論文も受理されて卒業し、飲食業を始めたのですね。いきなりご自身でお店を始めたのですか?

A:

はい、そうです。

Q:

それまで飲食業でアルバイトをした経験はあったのですか?

A:

大学院、修士課程の頃から沖縄でアルバイトをしていました。オーストラリアでも少しだけ経験があります。

Q:

すごい勇気ですね。

A:

今思えばそうですね。当時はあまり深く考えていませんでした。

コーヒーサイエンスへの目覚めと海外でのバリスタ経験

Q:

それから飲食業をされて、その後は?

A:

その後、飲食業は夜が中心なので、昼間の時間が空いているなと感じました。コーヒーをよく飲むので、エスプレッソマシンを触ってみたいと思い、朝はコーヒーの仕事も始めました。そうしたら、「コーヒーサイエンス」という分野があることを知り、簡単なものから学び始めました。実は、最初にワーキングホリデーでオーストラリアに行った時、30歳になるとワーキングホリデービザが使えなくなることを知り、これは貴重なチャンスだと思っていたので、30歳になる前か30歳になってからもう一度海外に行こうとずっと考えていました。それで、3年ほどお店を経営している間にコーヒーにも携わるようになり、30歳になった頃に再び海外へ。興味のあったコーヒーサイエンスを学びながら、ヨーロッパでバリスタとして働きました。ワーキングホリデービザでは一雇用主のもとで6ヶ月しか働けないため、最初は7ヶ月分の滞在費だけを用意して渡航し、その後ニュージーランドに移って働いていたところ、オーナーからワークビザを取得しないかと誘われ、ビザを切り替えました。デンマークにも半年ほど滞在したので、合計で3年以上海外にいました。

Q:

3年以上も海外にいらっしゃったのですね。半年間デンマークで、その後はずっとニュージーランドですか?

A:

はい、その後はずっとニュージーランドです。

Q:

認められたのですね。

A:

たまたまオーナーが良い方で。普通に働いていたのですが、そう言ってくださいました。

Q:

バリスタの面白さ、そしてコーヒーサイエンスの面白さはどのような点にありますか?

A:

バリスタの友人はあまりいないのですが、この業界に入ったきっかけは、後から考えると少し変わっていたかもしれません。多くのバリスタは、ラテアートができることや、それを使って働く姿がかっこいいと感じているようですが、私にとっては、誰が淹れても一定の高品質なコーヒーを再現性のある形で提供できることに興味がありました。同じ500円を払うのであれば、淹れる人によって味が違うというのは不公平だと感じたのです。常に同じクオリティ、しかもハイクオリティのコーヒーを提供するにはどうすれば良いのかと考えた時に、コーヒーサイエンスという分野があることを知りました。

Q:

通常であれば、経験則に基づいて「これが一番美味しい」というベストプラクティスを確立し、マニュアル化することで再現性を高めると思いますが、あなたの場合はそれを科学的な視点から捉え、再現しようとしたのですね。

A:

最初、たまたま沖縄で行ったコーヒー屋さんでの出来事がきっかけでした。恐らくどこにでもあることだと思うのですが、例えば副店長に「この味はどうですか?」と尋ねると「良くない」と言うのですが、そこに店長が来て同じコーヒーを出すと「美味しい」と言うのです。そして、美味しいものとして提供される。この再現性のなさに、あまり納得がいきませんでした。経験を積んでいようが、役職で判断が変わるような風潮も好きではありませんでしたし、ベストプラクティスが確立されていないということは、その方法自体があまり良くないと感じました。経験のない人の意見が通ってしまうような文化も好きではなかったので。自分で科学的な根拠を追求していった結果、ある一つの式を見つけたのですが、それを見た時に明らかに間違っているだろうと感じました。

Q:

それは論文か何かですか?

A:

論文のような形式ではありません。一応、1960年代にアメリカの先生が提唱したと言われている食品の品質工学のようなものらしいのですが、ただの分数の式で、微分なども含まれていない簡単な式でした。それが本なのか論文なのかは定かではありませんが、存在することは知られていたようです。これを使えそうだと思ったのですが、すぐにその式の誤りに気づきました。それで、この式の誤りに気づいている人に会えたら良いなと思っていたのですが、当時沖縄にはそのような人がいませんでした。それで、本土に行くことも考えましたが、どうせ海外に行きたいと思っていたので、英語の情報が多いだろうと考え、海外に行くことにしました。しかし、結局海外でもその式の誤りに気づいている人には出会えませんでした。最終的にニュージーランドにいる時に、アメリカのとある大学に詳しい先生がいることを知りました。その先生は、バリスタの間で流行している、水の硬度や抽出方法などをカスタマイズする「ウォーター法コーヒー」の第一人者でした。その先生が論文を発表し、当時ニュージーランドにいた私がそれを読んだのですが、エスプレッソマシンは基本的に9気圧で抽出するという暗黙のルールがあるのに対し、「9気圧でなくても美味しいエスプレッソは抽出できる」という内容でした。しかも、その論文には数式モデルも示されていました。それを読んでいるうちに、シミュレーションでも再現できるような記述があったのですが、比較的新しいジャーナルに掲載されていたこともあり、少し疑念を持ちました。そこで、直接その先生にメッセージを送ってやり取りする中で、例の疑わしい式のことも尋ねてみたところ、偶然にもその先生も同じように考えていたというニュアンスの返信があり、やはりあの式は間違っているのだと確信しました。その時、このコーヒーの研究者との関わりはもう良いだろうと思い、少し満足しました。

AIエンジニアへの転身とVarealでの現在

Q:

それでは、その後は?

A:

それからというもの、大学を卒業してからもずっとプログラミングは独学で続けていて、時間があればコードを書いていました。当時、大学を辞める時に一つ上の先輩で、ある大学に行ってそのまま助教授になった方が、「Pythonが良いよ。C言語も良いけど、Pythonはすごく書きやすい」と教えてくれたことがあり、それからPythonに興味を持つようになりました。そうしたら、世の中がAI、AIと騒ぎ始め、必ずセットでPythonという言葉が付いてくるので、ずっと興味がありました。コーヒーの仕事をしながら、暇があればPythonのコードを書いていました。そうするうちに、そちらの方に興味が移っていき、沖縄に帰った時に経営していたお店が立ち退きになり、そのまま飲食業を続けることもできましたが、せっかく興味があるのなら、いわゆるAIというものを少しやってみたいなと思い、現在お世話になっているというわけです。

Q:

ご実家は沖縄で、ご家族もいらっしゃるのに、なぜ福岡の我が社を選んでくださったのでしょうか?

A:

それは私のリサーチ不足かもしれませんが、自身のキャリアプランを検討した結果、よりチャレンジングな環境を求めて県外での就職活動を行いました。福岡の企業に魅力を感じ、その中でVareal株式会社の事業内容に強く共感し、入社を希望しました。そのような流れですね。ありがたいことに。

Q:

入社前の会社のイメージと、入社後のイメージでギャップはありましたか?当社のことに関して。

A:

正直、会社のホームページを見る限りだと、データサイエンスというよりはRubyを強くアピールしている会社という印象だったので、「本当にデータサイエンスの仕事ができるのだろうか」という不安が少しありました。良い意味でも悪い意味でもないのですが、よくあるじゃないですか。「データサイエンティスト」として採用されたのに、実際にはデータエンジニアのような仕事ばかりしている、というケースも耳にするので、そういうこともあるのかなと、少し思っていました。

Q:

それで、実際に入社されてみていかがでしたか?

A:

今は希望通りのデータサイエンスの仕事に携わることができているので、そのような心配は杞憂だったと感じています。

Q:

それは想定通りでしたか?入社後にやりたいと思っていたことが、今できているということで良いでしょうか?

A:

たまたまデータサイエンス、というかAIといった分野に興味を持ったのは、少しアカデミックなことに携わりたいという思いもあったからです。博士課程を修了する時に先生から、「一度この道から外れたら、もう戻れないからな」と言われたのですが、その時、自分なりに気持ちの整理はつけていたつもりでした。しかし、コーヒーの式の例でもそうだったのですが、世間の多くの人は、言葉は知っていても本質的な意味を理解せずに使っていることが多いと感じることが何度かあり、それ以上議論を深めることができず、結局アカデミアの領域まで行かないと、深い議論をすることは難しいのだろうなと感じていました。それもあって、アカデミックな、プログラミングに近い仕事をしたいと思って入社させていただいたところ、たまたま私の今の部署では、昨日も夜に論文が送られてくるような、アカデミックな雰囲気があります。

周りを見渡すと、必ずしも皆がそうではないので、本当にたまたま運が良かったなと思っています。

Q:

しかし、会社として目指しているのは、まさにあなたがおっしゃるような、アカデミックな領域でしっかりと基礎を築き、新たな知識や知見を生み出すこと、そしてそれを現実のお客様の課題や社会の課題を解決するという工学的な視点、さらにはビジネス的な視点と結びつけ、最終的に社会実装まで行うことです。まさにあなたがそれを体現してくださっているので、私としては非常に嬉しく思っています。今後は、これを当社の標準的なあり方にしていきたいと考えています。

A:

そうだったのですね。先日、顧客先から専門的な論文をいただき、大変興味深く拝見しました。新しい知識や技術に触れる機会は、自身の成長に繋がると感じています。専門性の高い分野に挑戦できる環境は、非常に魅力的です。

Q:

素晴らしいことですね。もし、その中で論文のテーマになりそうなものがあって、論文が書けそうであれば、ぜひ書いていただいて構いませんよ。

A:

私もそう思っているんです。会社名を出しても良いのでしょうか?

Q:

ええ、構いませんよ。

A:

会社の名前を出して論文を書けたら良いのにと思っています。メモの段階で書けるような内容もあるのに、と。

Q:

先方にそのような研究者がいらっしゃるのですか?

A:

いえ、私が全てのデータを持っているので、普通に論文が出せるのに、と思っています。内容的には。書き方にもよりますし、どの先生を調査に加えるかなど、派閥のようなものもあるかもしれませんが、データ自体は取ろうと思えば取れるので、もしそれをアピールしたいのであれば、やはりアカデミックな箔が付いている方が、顧客からの信頼度も高まると思います。先日、あるコンサルティング会社のホームページを見たのですが、学会発表の情報を2004年4月頃から掲載しているだけで、それよりも論文を1本でも発表して、そこに論文のタイトルをリンクさせておけば、たとえインパクトファクターのない日本の論文であっても、日本人からすれば「おお」となるのではないでしょうか。そういうことをすれば良いのになあとは思いますね。多分、皆さん忙しいのだとは思いますが。あれは結局、提出しても何度もやり取りして訂正して、結局ダメでした、というパターンもあるかもしれませんし。

Q:

そのグループには研究者はいらっしゃるのですか?

A:

今はいないと思います。

Q:

いないですよね。だから、そういう発想が出てこないし、それが直接的な利益に結びつくと考えないのでしょうね。

A:

皆さん、多分四大は卒業されていると思うのですが、大きな会社なので。

Q:

当社も四年制大学を卒業している人がほとんどですが、誰も論文を書こうとしませんし、興味もないようです。普通の人はそうだと思います。だから、Ph.D.を取得しているような、そういった感覚を持っている人に、今後DSのメンバーとして来てほしいと思っています。今日、採用担当とも話していたのですが、今後、大学や学会でアプローチして、その中で考え方が似ている人がいれば、声をかけてもらうのが良いのではないかと考えています。

A:

実は私、ずっとそのような学会の西部支部に関わっているんですよ。持ち回りなのですが、西部支部の事務局は確か福岡県にあったと思います。

Q:

そうなんですか?それでは、ちょっとドアノックしてみましょうか。

A:

今度、営業の方がある企業に行かれるようですが、そこの業績を見ると、学会の発表論文を業績として掲載していますから。

それで良いのであれば、査読もないですし、講演論文を2枚書いて発表に行けば良いだけです。それが業績になるのであれば、どんどんやった方が良いと私は思います。査読となるとお金もかかりますし。土木の全国大会くらいであれば、2枚書いて誰でも参加できます。そこで発表して、運が良ければそのセッションで賞を取ることもできます。そうやってアピールすれば、御社の場合も、アカデミックな領域でしっかりと活動している会社だという目で見られると思います。そういうアプローチの方が、顧客からの信頼も得やすいのではないでしょうか。

Q:

それでは、それを我が社で進めていきましょう。まず、課題を拾い上げてきて、それに対してアプローチを考え、発表する。もちろん、実装も行い、アカデミックな背景を持ちつつも、実際のアプリケーションとして社会に貢献できれば、非常に意義深いと思います。

A:

しかも、地盤分野の解析には、まだ発展の余地があると感じています。既存のソフトウェアにはいくつかの課題があり、より高度な解析技術の開発が求められています。特に、大規模な構造物の維持管理においては、計算能力の向上が必要だと考えています。そういうところに焦点を当てて研究を進めれば、1つのセッションの参加者は20人程度なので、そこで良い発表をすれば賞を取ることも可能です。私は学生時代に全国大会で3回賞をいただきましたし、西部支部でも何度か受賞しています。それができたのも、計算分野で他の人よりも強みがあったからです。しっかりと準備して発表すれば、十分に成果を出せると思います。

Q:

素晴らしいですね。それはいつ頃のことですか?

A:

学生時代に、全国大会では一応3回受賞しました。西部支部での受賞回数は、少し覚えていませんが。それらの受賞も、計算分野での発表によるものです。ですから、他の人よりもその分野では強みがあると思っています。きちんと発表すれば、評価されるはずです。そういう狙い方があると思います。

現在の業務と今後の展望:知的好奇心を追求して

Q:

素晴らしいです。それでは、今現在取り組んでいらっしゃる内容について教えていただけますか?

A:

現在は、河川の流速と流量を、より現実的で精度の高い方法で推定するためのアプローチを研究しています。ある大学の先生が提唱されたSTIV(Space-Time Image Velocimetry)という手法を参考に、解析を進めています。その手法から得られる値に対して、人間が判断するのではなく、機械学習や深層学習、あるいは数理モデルを用いて自動的に値を抽出するという試みです。より信頼性の高い、高精度な流速・流量推定手法を提案することを目指しています。

Q:

その業務の中で、やりがいや難しさを感じるのはどのような点ですか?

A:

やりがいを感じるのは、ゼロから何かを作り出すという点ですね。論文を読み解き、そこに書かれている内容を自分で再現できる面白さ、そして、数式の一つ一つを深く理解しなければ先に進めないという知的興奮が、私にとって一番のやりがいです。難しいと感じるのは、全てがゼロからのスタートなので、自分のやっていることが本当に正しいのかどうかという不安です。また、これはやりがいと難しさの両面を持ち合わせているのですが、自分でストーリーを組み立てて、試行錯誤しながら進んでいかなければならない点です。ただ答えを出せば良いというわけではなく、「なぜこうなるのか」「次のアプローチはどうすべきか」「もしこうなったらどうなるか」といったことを常に考え、遡ったり、別の方向から検討したりする必要があります。それが面白い反面、自分の立てた仮説やアプローチが間違っていると、全く見当違いの方向に進んでしまう難しさもあります。研究に近い感覚かもしれません。

Q:

なるほど、よく分かりました。まだ入社されたばかりで、今のテーマに集中しつつも、将来的に当社でやってみたいことはありますか?

A:

何でも良いのですか?

Q:

ええ、何でも構いませんよ。

A:

会社で、というよりは、先ほどの話の延長線上なのですが、社会人として働きながら論文を書くということに、個人的に面白さを感じています。そこに組織名が出るじゃないですか。普通の株式会社なのに論文を書いているというのは、昔からそういう論文を見ると「この人はすごい人なんだな」と感じていました。大学の教授や助教が書いた論文というのは、それは仕事だから当然だという印象がありますが、研究所を持たない一企業が論文を発表していると、「この人は相当すごいのだろうな」と感じます。論文を書くということは、自分の仕事が専門的な知識を持つ人に評価された、きちんと仕事をしたという証にもなりますし、そこが面白いと思うのです。

Q:

面白いですね。ありがとうございました。それでは、少し視点を変えて、ご自身の強みは何だと思いますか?

A:

私の強みですか…それは、分かるまで諦めずにやり続ける粘り強さでしょうか。強みと言えるのか分かりませんが、時間がかかるということでもあります。

Q:

いえいえ、おっしゃることはよく分かります。物事を徹底的に掘り下げていくというスタンスが非常に強く、まさに研究者に向いていると思いますし、ゼロから何かを生み出す力をお持ちだと感じます。

A:

言い方が適切ではないかもしれませんが、表面的な会話があまり好きではありません。皆が理論を理解していないのに、結果だけを知っている時の会話のようなものです。「それは本当にできるのですか?」と疑問に思うことがあります。なぜなら、その方法論は元々そのような結果しか導き出さないはずなのに、その過程こそが研究の本質であるはずだからです。結果だけを見て議論するのは、あまり良くないのではないかと常々感じています。

Q:

逆に、ご自身の弱みは何だと思いますか?

A:

弱みは、柔軟性に欠けるところかもしれません。一つのことに深くハマってしまうと、なかなか抜け出せなくなることがあります。それが楽しい反面、他のことに目を向けにくくなるため、少し弱い部分かもしれません。

Q:

一長一短ですね。強みと弱みは表裏一体の関係にあると言えますね。

A:

要領の良い方というのは、また違うのでしょうね。色々なことを効率的にこなせる。羨ましいとは思いますが、そうしてしまうと、全てが薄くなってしまうような気がしてしまいます。色々なことに挑戦したいという気持ちはあるのですが、実際にやると、自分が中途半端に全てをこなしてしまうような気がして、どこかでブレーキをかけている自分がいるのかもしれません。

Q:

それでは、あと2つ質問させてください。1つ目は、土木がご専門とのことですが、土木の中でも特にどの領域に強いと認識されていますか?

A:

どの領域も特に強いというわけではないかもしれません。学部レベルの知識なので、満遍なくある程度の学問的なことは学びましたが、その後大学院では数値計算力学をずっと研究しており、対象がたまたま土木分野だったというだけで、数値計算や数式、プログラミングといった、手法そのものを追求してきました。ですから、土木に関して言われたら、ある程度どのようなことを言っているのか理解できますし、数式の話が出てきた時には、それがどのような意味を持つのかも分かります。しかし、実務経験という点では、弱いかもしれません。

Q:

それでは、業界知識が豊富というよりも、手法そのものに強みがあるということなのですね。アカデミックなアプローチで物事を捉え、本質を見抜き、モデルの良し悪しを自分で判断し、必要であればそれを改良して数値計算に落とし込み、検証を行い、論文にまとめることができる、と。

A:

はい、その通りです。ですから、世の中で使われている式がどのようにして導き出されたのか、といった背景を理解しているので、「これは無視しても良い」「これは元々根拠がないから、そこに根拠を求める必要はない」といった判断ができます。土木分野には、そのようなケースが非常に多いと感じています。

Q:

そうなのですね。背景がきちんと分からないまま、使われている式も多い、と。

A:

式の妥当性などを検討する際に、その式の導出過程を調べると、単なる経験則や実験式だったりすることがあります。微分方程式のように書かれているので、一見すると数学的に厳密に見えるのですが、本質的な意味がない場合があるのです。

Q:

まさに工学的なアプローチですね。

A:

そうですね。過去の事例や実験の結果から「こうなった」という結論だけが先行していて、それ以上深く掘り下げなくても良いとされているような瞬間があります。逆に言えば、そこに少し手を加えるだけで、もっと精度が向上する可能性もあると感じています。

Q:

ありがとうございます。手法の点に戻りますが、物理的なモデルを比較的大きなスケールで解析することができる、ということですね。

A:

そういう研究をしてきました。

Q:

ですから、浸透流のような、単に静的な場を扱うだけでなく、水や塩分などが加わった際の条件変化もモデル化し、それを時間経過に伴ってシミュレーションできる、ということなのですね。

A:

もしかしたら、プログラムをゼロから構築するという点で、アプローチが似ているのかもしれません。静的解析は一度答えが出れば終わりですが、動的解析になると、論理的に正しく構築されていないと、様々な不具合が発生します。特に大規模なシミュレーションを行う場合、メモリの使い方を間違えると、最初の数回はうまくいくのに、100回目から突然計算が止まってしまう、といったことが起こりえます。

Q:

計算が途中で止まってしまうのですね。

A:

ええ、そして、原因を特定するのに非常に時間がかかることがあります。

Q:

よく分かりました。本日は貴重なお話、ありがとうございました。

最後に、今後のキャリアパスについて、どのような展望をお持ちですか?Vareal株式会社で、どのようなことに挑戦していきたいですか?

A:

具体的に明確な目標があるわけではないのですが、これまで培ってきた研究開発の経験と、プログラミングのスキルを活かして、まだ世の中にない新しい価値を生み出すことに貢献できればと思っています。Vareal株式会社には、様々な分野の専門家が集まっていると聞いていますので、そうした多様なバックグラウンドを持つ方々と協力しながら、革新的な技術やサービスを開発していきたいです。

個人的には、先ほどもお話したように、業務を通して得られた知見や成果を、積極的に論文として発表していきたいと考えています。それが、自身の成長の証となると同時に、会社の技術力を広くアピールすることにも繋がると思うからです。アカデミアとビジネスの橋渡しのような役割を担い、Vareal株式会社のプレゼンス向上に貢献できれば、これまでの自分の経験も無駄ではなかったと思えるでしょう。

また、今取り組んでいる河川の流速・流量推定に関する研究も、さらに深めていきたいと考えています。将来的には、この研究成果を社会実装し、防災や環境保全といった分野で役立てられるようにしたいです。データサイエンスやAIの技術は、まだまだ発展の余地が大きい分野だと感じていますので、常に新しい知識や技術を学び続け、自身のスキルアップを図りながら、Vareal株式会社の技術革新に貢献していきたいです。

Q:

素晴らしいですね。これからのご活躍を大変楽しみにしています。本日は本当にありがとうございました。

A:

こちらこそ、貴重な機会をいただきありがとうございました。

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今回のデータサイエンティストのように、Varealでは多様なバックグラウンドと強い探求心を持つ仲間が活躍しています。アカデミックな知見とビジネスを結びつけ、新しい価値を創造することに情熱を燃やすことができる環境です。あなたのユニークな経験と知的好奇心を、私たちと共に社会に貢献する力に変えていきましょう。

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